Chapter 4：ルール編（著作権・利用マナー）

AI画像を安心して使うために知っておきたいルールとマナー

AI画像生成は便利で魅力的な技術ですが、使い方を間違えるとトラブルの元になってしまう可能性もあります。特に、著作権や利用規約、マナーの理解は、安心・安全に活用するために欠かせません。AI画像は手軽に作れるからこそ、知らず知らずのうちにルールを逸脱してしまいがちです。

この章では、AI画像を使う際に知っておきたい「ルール」と「マナー」について、具体的な例やよくある質問を交えながら、初心者にもわかりやすく解説します。

1. 利用するサービスごとの「利用規約」を確認しよう

AI画像生成ツールにはさまざまな種類があります。

有名なものには

• Adobe Firefly
• Canva
• Bing Image Creator
• Midjourney
• Stable Diffusion

などがありますが、それぞれで画像の利用条件が異なります。

たとえばAdobe Fireflyは「商用利用可能」かつ「著作権表示推奨」ですが、Canvaでは再販やロゴ制作への利用が制限されていることもあります。Midjourneyの場合、無料プランだと生成画像の商用利用は許可されず、有料プランのみ商用OKという条件があるため、個人利用から商用展開に切り替えるタイミングで条件を再確認する必要があります。

最近は日本語対応のツールも増え、利用規約も日本語版が用意されている場合が多いですが、機械翻訳でわかりづらいこともあるため、可能であれば英語の原文にも目を通しましょう。
✅ ポイント：
必ずツールごとの「利用規約」や「FAQ」などのページを確認し、不明点は問い合わせするなどして解消しておくことが大切です。

2. AI画像に著作権はあるの？

一般的に、完全にAIによって生成された画像は「著作物」とは認められず、著作権が発生しないとされています。米国著作権局のガイドラインでも、人の創作性が介在しないAI画像に著作権は認められないと明記されています。

ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。

• 元画像に他者の作品を使っている（他人の写真を学習させて作った画像など）
• 人が大幅に加筆・編集し、創作性を与えた場合
• 既存作品に酷似した画像が出力された場合

例えば、AIに「ピカチュウに似たキャラクターを作って」と依頼して生成した結果が、実際のキャラクターに酷似していれば権利侵害を問われるリスクがあります。また、AIに著作権がなくても、素材として取り込んだ既存画像の権利を侵害している可能性もあります。AI画像を販売したり広告で大々的に使う場合は、第三者の権利に触れていないかダブルチェックする意識が必要です。

3. 利用する側のマナーと責任

AI画像をブログやSNSに投稿する際には、以下のようなマナーを意識しましょう。

• 生成元や使用ツールを明記する（例：「画像：Canva AI生成」など）
• 誤認を招かない表現を心がける（AI作成であることを伝える）
• センシティブなテーマ（戦争、災害、差別問題など）は慎重に扱う
• 著作表示が必要な場合は忘れずに記載する

たとえばSNSで「自作イラスト」と誤認させるような投稿をすると、後から「AIで作ったのに自分の手描きと偽った」と批判されるケースもあります。特に、イラストレーターやクリエイターコミュニティ内では、AI作品と手描き作品を区別することが信頼を守るポイントになります。

また、企業のWebサイトや商用パンフレットなどで使用する場合は、クライアントや社内の法務部門のチェックを受け、規約違反や権利侵害がないことを確認することをおすすめします。

4. 商用利用はどこまでOK？

多くのAI画像生成サービスでは、商用利用が可能とされていますが、サービスによって細かい条件が異なります。

たとえば

サービス名	商用利用	クレジット表記	その他条件例
Adobe Firefly	○	推奨	商用利用はライセンス付き画像に限定
Canva	△	必須（場合あり）	プレミアム素材は別途ライセンスが必要なこともある
Midjourney	○（有料）	任意	無料プランでは商用利用不可

このように同じ「AI画像生成ツール」でも条件にばらつきがあるため、サービス移行や商用利用への切り替え時は特に規約を再確認しましょう。

さらに、AI生成物を二次利用して「素材集」や「NFT化」するなど、新たな商用展開をする場合も別途禁止しているツールがあります。こうした「二次配布」や「転売」の可否はFAQやサポートページに明記されていることが多いので必ず目を通しましょう。

5. 法律よりも大切なのは「信頼される使い方」

生成AIはまだ法整備が追いついておらず、グレーな領域も多く存在します。だからこそ「法律だけ守ればOK」と考えるのではなく、誠実な姿勢での利用が周囲との信頼を築く上で重要です。

たとえば、

• 子どもや特定の属性の人々を描いた画像を公開・販売する場合
• 実在する有名人やキャラクターを真似た画像を投稿する場合
• 嘘の情報や誤解を与える内容の画像を作って拡散する場合

こうしたケースでは、相手の権利や社会的影響を考慮し、法的には問題なくてもモラル的にアウトにならないかをよく検討しましょう。

近年、SNSやニュースでも「AIが作った偽画像が炎上する」ケースが増えており、生成AIユーザー一人ひとりがリスクを意識することが、健全な利用環境を守る鍵になります。

✅ まとめ

• 利用ツールごとの規約を事前にチェック
• AI画像には著作権がない場合が多いが、他者の権利侵害に注意
• 商用利用可否や条件はサービスによって大きく異なる
• 誠実な運用・情報開示を心がけて「信頼される使い方」を実践することが大切